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なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?

2017年02月03日

著者:野村総合研究所 松下東子+日戸浩之+林浩之
発売元:東洋経済新報社

サブタイトルが「1万人の時系列データでわかる日本の消費者」。
この本は、すごいわ。
野村総合研究所こと、NRIの良心と意地が込められておりますね。

マクロミルを始めとしたオンラインリサーチサービスがたくさん登場しております。お安い値段で、自前調査ができる時代になっているのですけれど、自前調査をする前に、こういう本を読むべきなのですよね。抽出するサンプルの分母がそもそもどういうものか?が、よく分かる本です。

いままで、この本を知らなかった自分を恥じますね。

本書では日本人の消費スタイルを下記のように分けて解説してくれます。
 縦軸:高くても良い/安さ重視
 横軸:お気に入りにこだわる/こだわりはない

そして、それぞれ四象限をこのようにラベリングしているのです。
 高くても良い✕お気に入りにこだわる
 →【プレミアム消費】
  ・自分が気に入った付加価値には対価を払う
  安さ 重視✕お気に入りにこだわる
 →【徹底探索消費】
  ・多くの情報を収集し、お気に入りを安く買う
 高くても良い✕こだわりはない
 →【利便性消費】
  ・購入する際に安さよりも利便性を重視
  安さ 重視✕こだわりはない
 →【安さ納得消費】
  ・製品にこだわりはなく、安ければ良い

全体を紹介した後に、この四象限ん居合わせて細かい説明をしてくれるのがスバラシイね。

ちなみに、全体説明で目からウロコだったのは 情報収集すら面倒、あふれかえる情報に疲れという記事ですな(27ページ)。
もう、情報過多ですよ、と。DeNAのように仁義も遵法意識もへったくれもなく、アフィリエイト収入のためにキュレーションメディアを運営するのとは違って、ちゃんとしたキュレーションメディアがもてはやされるのには、それなりの理由があったのですね。
でも、だからこそ、この情報の海で「騙される」方々が続出しちゃうのよね、ということになるのですね。だって、加工されて「アナタにだけオススメ!コレだけ見ていればOK!」といって情報がやってきちゃうのだもの。主体的に情報を探すことも、考えることも放棄する人がどんどん増産されるわけですよね、と。

で、そんな説明の後に、「じゃあ、どうすれば商品を買ってくれるのか?」に話が移っていきます。

では、どうすればいいのか?

お金はあるが時間がない、面倒くさい→情報をまとめ、選んで、届けよ

を!なんだ!アンテナとかGunosyからお金をもらっているネイティブアドか?と思ってしまいますwでも、あるいみ、これは正しいと思います。
が、一度この世界にハマって、安住してしまった人は「バカ」になっちゃうんだろうな、と思うわけですよ。

情報が多くて疲れた→ネットとリアルに求めるものを理解し、商品との出会いから購買までのユーザー導線を計画せよ

オムニチャネル的な考え方ですが、コレは至極全うで、ものすごく正しいのですが、データを統合・管理するインフラがないと破綻するのよね。とはいえ、コレはものすごく正しい。

この他、「ユーザーがブランドを作る→ユーザー評価にターゲットを当てた商品・サービス・マーケティングを実行せよ」とか「持つことへのこだわりの低下。借り物、中古でもいい。→シェアリングの仲介者としてのあり方を検討せよ」なんて戦略も記載されております。

この本にかかれていることをそのまま実践するのも良いですし、逆張りするのも、またけっこう。ちなみに、ワタシ、逆張りすますがね。どっちを選ぶにしろ、根拠がしっかり書かれているのが、スバラシイですね。



なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?

タイトル:なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?
著者:野村総合研究所 松下東子+日戸浩之+林浩之
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(良い本ですね)
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「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎

2017年01月31日


著者:鈴木義昭
発売元:山川出版

世界のクロサワ。天皇クロサワ。

その称号からして一人で映画を切り盛りし、日本の映画業界を背負っていたように思われる黒澤明。

そんな黒澤明を支えていた男がいる。その彼の名前が本木荘二郎である、と。

本木荘二郎が黒澤明をささえ、プロデュースしていたのは戦後すぐの頃。そう、クロサワの名前を世界に知らしめた「羅生門」を撮影していた頃から。

敗戦直後で自信も夢も希望もなかった時に、突如、海の向こうから聞こえてきた「羅生門」の快挙。

そこから始まるクロサワの快進撃。

ある程度までは黒澤明に伴走していた本木荘二郎であったが、ある日、突然、その歩みを止めてしまう。

彼の人生は、あたかも日本映画界の勢いを表すようなものであった。

一時期行方不明となっていた本木荘二郎は、しばらくするとピンク映画の監督としてシネマ界に復帰。しかし、ピンク映画の流行も、それほど続くことなく終了。

黒澤明をプロデュースした映画人は、誰かに看取られることなく、北新宿の安アパートで孤独死を迎えるのでした。

なんだか切ない一冊でしたね。




「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎

タイトル:「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎
著者:鈴木義昭
発売元:山川出版
おすすめ度:⭐⭐⭐(でしたね。)

今、企業がブランド力をあげる理由

2017年01月03日


著者:関野吉記
発売元:日経BP

ニトリや、にんべんなどのナカノヒトにインタビューし、その強いブランドの秘訣をインタビューして、まとめた本。

プロダクトではなく、サービスの場合、ブランドを構成するのは人なのよね、ということを再認識。



今、企業がブランド力を上げる理由


タイトル:今、企業がブランド力をあげる理由
著者:関野吉記
発売元:日経BP
おすすめ度:⭐⭐(うむ。)

数字思考力×EXCELでマーケティングの成果を上げる本

2016年11月18日


著者:植山周志
発売元:翔泳社

EXCELを上手に活用して、適確に数字を見れるようになりましょうね、という本ですね。普段から、バリバリ業務で数字を追いかけている人には知っていることがたくさん書かれているように感じるかもしれませんね。

いや、数字を追いかけている人ではなく、数字を見ながら戦略を立てている人かもしれませんね。

デモですね、ぎゃくに、普段の業務で数字を細かく分解して、戦略を立てていない。もしくは、「今年の新卒に数に見方を教えろ」と言われたヒトにはピッタリかもしれません。反射的に行っている作業の「ナゼ」がしっかり書かれているので。

そんなわけでして、これから「ちゃんとマーケティングを学びたい」という方には向いてます。

ちなみに、マーケティング系の仕事をしていると、得てして「寝ていない自慢」になりがちなのですが、それは人として間違っているといことを33ページで教えてくれます。

仕事は「やった量」ではなく、「効率」を重視する

と。

まぁ、若いうちは、徹底的に量を追い求めないとスキルが見につかないし、スキルを身に着けないと効率化もヘッタクレもないんですけどね。でも、アタマ使わないで、量ばかり追い求めているとラクなので、そういうオトナは「寝ていない自慢」をする無駄な要員となってしまうわけね。

そんな本書でよかったのが、まず、Section 06 数字との正しい付き合い方ですね。

数字って、それ単体で見ても、意味がない。いろんな切口で見てみて、はじめていみがでてくる、と。その見方とは、下記の通り。

比較
分解
時系列
分布

とな。

あと、ココロに響いたのが121ページからの適切な切り口を選択するためにですな。

適切な切り口を得るための秘訣は下記の3ポイント。

分布の目的をしっかり意識すること
たくさんの切り口が出せるように訓練すること
繰り返し練習すること

なんだとな。

そうなんだよね。「これは!」という分析の切り口
を見つけることはセンスでしかなくて、センス皆無なヒトには難しい世界なのですが、少しでもセンスあれば、量をこなすとなをとかなるからね。

ふつーと言えば、ふつーですが、すごく使えることが書いてありますわ。



数字思考力×EXCELでマーケティングの成果を上げる本

タイトル:数字思考力×EXCELでマーケティングの成果を上げる本
著者:植山周志
発売元:翔泳社
おすすめ度:☆☆☆☆

マーケティングのKPI

2016年10月11日

著者:上島千鶴
発売元:日経BP社

ネットとリアルの特性を生かした、次世代マーケティング戦略から具体的な実行支援まで、組織や階層間を繋いだ「ファシリテーション型マーケティングを」を提供するNexalの代表が著者。わかりやすく言うと、著者は日本には数少ない、B2Bのマーケティングに特化したコンサルタントですな。そういう認識です。個人的には。

そんな著者が今まで培ったであろう、マーケティングノウハウがぎっしり詰まった一冊です。なにかすごい難しいことが書いてある、わけではないのですが、逆に言うと、日本の多くの会社は「こういう簡単なこと、基本的なことすらきっちり行っていないのね」ということが痛感させられちゃったりします。

少なくとも、ウチノカイシャは、この本に書かれてあるようなこと、実践してはいないもの。そりゃ、少しは実践しているけれどね。

どこをどう切り取っても使える箇所満載なんですけれど、特にグサグサ心に刺さり、心が折れてしまいそうになったのは、下記の箇所ですな。

まず、KPIに関して(13ページ)。
本来、KPIとは業績を評価するための指標であり、その手法は、経営ビジョンや戦略、各目標を評価できるマネジメントツールとして1992年に発表された「バランススコアカード(BSC)」が基本となっている。
BSCは、1.財務の視点(業績評価)、2.顧客の視点(企業から見るお客さま、お客さまから見える企業)、3.業務プロセスの視点(製品自体の品質や業務内容に関する視点)、4.学習と成長の視点(企業が持つアイディアやノウハウ、従業員の意識や能力の視点)という4つの視点をベースに、企業が持つ有形・無形資産や将来への投資判断などを含めた”今”を総合的に評価するものである。
その設計にあたっては、前提に方向性(ビジョン)や戦略が存在し、目的(目標)を日本語で明文化する必要がある。そして、その目的を達成するための成功要因は何かを分解していく。

そうやって直近の目標であるKPIを設定しなければならないのに、どこの会社も数字ありきで決めてしまっているから、おかしなことになってしまっているのですよ、と。

あと、いろいろと独り歩きしてしまって、あやふやなママ、ぐるぐるぐるぐると不思議な都市伝説がいろんな会社の中で確立してしまっている「マーケティング」という言葉についても、著者はちゃんと定義すべきだと唱えているのですよ。そりゃ、そーだ。「マーケティング」という言葉が持つ意味がみんなバラバラだったら、マーケティングゴールもバラバラなものとなってしまうものね、と。

では、著者は「マーケティングはなんと定義しているかというと、その記述は17ページにある。
マーケティングが「市場を創造すること」であるとした場合、それぞれのマーケティング活動の最終目的とは何だろう。一般の事業会社では、「売上を創出すること」にほかならない。

そうなのよね。営業の部署は当然、数字を負っているので、数字=売上で、ヒジョーにわかりやすいのですが、そんな営業を支えるマーケティングの部署や部隊は、それを忘れがちだったりするわけなんだよね。「いや、俺らの目標はほっとリードを営業に手渡すだけだからさ」とか言っちゃって。

そういう、いわゆるマーケと営業の断絶がある企業の担当者にとっては、耳の痛い話が、本書にはいろいろたくさん出てくるわけですよ。そりゃ、「断絶」なんて言っていたら、全社挙げての売上の創出なんてできないからね。

では、どうすれば営業とマーケの「断絶」はなくなるのか?というと、これってある意味単純であります、と。営業とマーケの意識を統一させる、と。では、意識はどうやって統一させるのか?と言うと、言葉です、と。

まず、よく言われる「リード」という概念。この言葉にもちゃんと意味がある。
リードとは。。。?
リードとは、「成約につながる、あるいは取引が設立する可能性が少しでも見込める『個客』」のこと。以下では、取引対象が法人の場合、組織内の個人のことを「個客(リード)」といい、企業単位の場合は「顧客」または「アカウント」と表記する。

とな。

だから、よく言う「リードが何社ある」って考え方はおかしかろう、と。いや、リードが会社単位であればいいんですけれど、じゃ、その会社にぶら下がる担当者いわゆる個客はどうなるのか、と。

そういうところをちゃんと定義しない、少なくとも社内で「リードってそうだよね」という定義をしないから、部署を跨いでの戦略を立てることができないんですよ、と。

はい、ドウモスミマセン。。。と。

で、そのリードに対して、様々な情報を集めていく(情報で肉付けしていく)のがマーケティングである、と。

ちなみに、営業が欲しがっている情報はよくあるBANTのほかSCOTSMAN(スコッツマン)というのがありますよ、と。

BANTとは

Budget(予算)
Authority(決裁権限)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)

をの頭文字である、と。

SCOTSMANとは

Situation(立場)
Competitors(競合)
Opportunity(機会)
Timeframe(導入時期)
Size(規模)
Money(金額、予算。Budgetともいう)
Authority(決裁権限)
Needs(必要性、要望)

である、と。

これら内容を、各リードに対して、当たり障りのないようにヒアリングを行い、それぞれ情報を肉付けしていきましょう、と。そうすれば、わけがわからないまま、絨毯爆撃的なコールドコールをするような営業は避けられますよね、と。

で、このようなリードを管理していくにあたり、情報面からだけの管理だけでよいかというと、そうではない。プロセス面から、きちんと管理をしていく必要があるのですと。

プロセス面から管理とは何かというと、米フォレスタリサーチ社では、「リード・トゥー・レベニュー・マネジメント(Lead-to-Revenue Management : L2RM)」モデルという管理モデルを提唱していたりする。

それは。。。

認知(Awareness)

リード創出(Lead Origination)

リード育成(Lead Nurturing)

販売プロセス(Sales Process)

売上(収益)(Revenue)

顧客の維持と拡大(Customer Retention and Expansion)

売上(収益)(Revenue)

。。。であると。

こういうプロセスを定義し、自社のリードがどこに位置しているのかを定量的に把握し続けることが重要である、とな。

そして、これは自社サイド(営業をかけていく方向から)だけではなく個客サイド(営業をかけられている方向から)も整理が必要である、と。だって、お客さまは営業されたものを「はい、そうですか」と何も考えず購入するわけじゃないのですから。お客さんサイドも社内のいろいろな調整や確認を実施するわけなのですから。

と、ある意味、「それ知ってるよ」という内容が多数書かれていたりはするのですが、知っているのと実行するのでは全く意味が違います。そして、この本に書かれている内容は色んな本に、いろいろと書かれていたりはするわけですが、1冊の本にこのようにわかりやすくまとまっていたりはしないわけです。

それだけでも、かなり価値はあるのではないかな、と思ったりもします。だって、展示会の出展の仕方から、Https化によってアクセス解析ツールで取得できなくなった検索ワードまで幅広く扱っているのですもの。



マーケティングのKPI 「売れる仕組み」の新評価軸

タイトル:マーケティングのKPI
著者:上島千鶴
発売元:日経BP社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(これぞ実用書です)

リテールマーケティング(販売士)検定3級問題集 part1

2016年07月30日

編集者:中谷安伸
発売元:一ツ橋書店

サブタイトルは「小売業の類型、マーチャンダイジング」

なめてた。

すげー難しい。

販売士検定。

これぐらいの内容と、バカにしていた自分が恥ずかしい。

ちゃんと勉強しよう。




リテールマーケティング(販売士)検定3級問題集Part1 平成27年度版

タイトル:リテールマーケティング(販売士)検定3級問題集 part1
編集者:中谷安伸
発売元:一ツ橋書店
おすすめ度:⭐⭐⭐(ECとかやっている人は勉強したほうがよい)

心を動かすマーケティング

2016年06月20日

著者:魚谷雅彦
発売元:ダイヤモンド社

サブタイトルが「コカ・コーラのブランド価値はこうして作られる」で、著者は元日本コカ・コーラ社長。なので、コーラマンセーか、マーケティングマンセーな本かとおもいきや、ソウじゃなかった。いい意味で期待を裏切ってくれる本て、良いですわな。

何が良かったって、魚谷さんがビジネスで得た、ほんとうに使えるTipsが紹介されているからなのよね。例えば68ページにある「24時間、いつでも、どこでも、顧客のことを考えろ」とかさ、すげーベーシックなことだけれど、ものすごく重要な事だしね。マーケティングを偉そうに語る人ほど、この基本を蔑ろにするしね。

あと、基本といえば第4章のタイトルが「現場に足を運んでいるか」だったりするわけですよ。これも、偉そうにマーケティングを語っている人ほど行っていない。トヨタの三現主義じゃないけれど、現地・現場・現物なんだよな、やっぱ。

じゃあ、マーケティングについて一切語っていないかというと、そうでもない。

169ページから170ページにかけて、日本コカ・コーラにおけるマーケティングの本質が書かれている。

日本の会社ではTVCMをはじめとした広告予算は「費用」と考えられることが多いようです。しかし、日本コカ・コーラでは、そう考えません。費用ではなく「投資」なのです。ブランドを育てていくため、マーケティングは投資活動なのです。
となれば当然、投資に対してのリターンを把握する必要が出てきます。また、投資したものに対して最大のリターンを求めることになります。重要なのはいくら使ったか、ではなくブランドに価値がきちんと作られているか、ということです。つまり、それを測るための仕組みであり、システムが必要になるということです。そして、メディアの選定についても、クリエイティブについても、投資としてのシビアな目線が問われます。


だよね、と。

日本でマーケティングを偉そうに語る人たちの多くが、絶対に語らないことだな。測るってことは、定量データってことだもんな。

やっぱ、すごいよ、コカ・コーラ。

そして、39歳で日本コカ・コーラのマーケティング担当の取締役上級副社長になるだけのことはありますわな。

そして、やっぱ英語だな。

英語をちゃんと使うだな。

英語の資格を取るではなくてな。



こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる


タイトル:心を動かすマーケティング
著者:魚谷雅彦
発売元:ダイヤモンド社
おすすめ度:☆☆☆☆(かなりの名著だ)

日本マーケティング史 生成・進展・変革の軌跡

2016年05月08日

著者:森田克徳
発売元:慶應義塾大学出版会


この本、名作だ。世の中に溢れかえっているビジネス書、特に経営戦略系の本が束になってかかっても勝てない、そんな魅力がある。
この著者、今は静岡大学で教えているのね(ウィキペディア情報)。静岡大学じゃ、教えを請いに行けないので、本を読んで我慢しよう。

この本には明治維新直後から、つい最近までの、日本におけるマーケティング事例がぎっしりと詰められている。コトラー先生のような分厚い本ではないのですが、コトラー先生の著書のように、捨てる部分が一切ない内容となっております。

マーケティング史となっていますが、「マーケティング」の話だけでないのが、好感度大です。結局、マーケティングというのは、企業戦略の一部なので、戦略の一部だけを切り取って「どーだ!」とやったところで意味が無いのですよね。調査・企画・購買・生産・販売・顧客管理…すべてが有機的に絡み合っていて、そのなかにあってマーケティングははじめて輝き出すんですよね。

で、そんな調査・企画・購買・生産・販売・顧客管理…がきっちり含まれたお話ですが、どんなものが収録されているかというと

●森永製菓 紙サック入り「ミルクキャラメル」
●サントリー 「赤玉ポートワイン」・「サントリーウイスキー白札」
●サントリー ウイスキーブームとビール事業への再進出
●麒麟麦酒 キリンビール
●日清食品 「チキンラーメン」・「カップヌードル」
●ダイエー 「売上拡大至上主義」と「コングロマーチャント(複合小売業)戦略」
●イトーヨーカ堂 「単品管理」
●花王 「アタック」
●アサヒビール 「フレッシュマネジメント」と「フォーカス戦略」
●セブン-イレブン・ジャパン−日清食品 「有名ラーメン店」

それ「だけ」で1冊の本が書けそうな濃ゆい内容がまとめられているのが素敵ですね。


この本では「この本におけるマーケティングの定義はこうだ!」と定義しております。この姿勢、素晴らしい。だって、マーケティングの定義って、定まっていないからね。各専門家、各企業、各個人によって解釈が違う。その解釈が違う中、解釈の溝を埋めることなく「マーケティング論」を語るから、世の中変なことになっちゃうのですよね。

で、本書ではなんと言っているいるかというと、それは6ページ
当初、市場や流通を意味したマーケティングの概念は、時代の推移とともに変化し、研究者の数だけ概念規定があるなどとされるが、AMA(アメリカマーケティング協会)の1985年の定義では、「個人や組織の目標を満足させる交換を生み出すために、アイディア、商品およびサービスにかんする既成概念形成、価格決定、販売促進、流通を計画し実行するプロセスである」。
本書では、「流通において企業が目標を達成するために、『商品力』を向上させ、売れる仕組みづくりを構築する諸活動」と位置づける。

・・・となっております。


朝ドラ『マッサン』でも話題になった鳥井信治郎とサントリーですが、この会社、やっぱりすごいというのが、あちらコチラから読み取れます。そして、21世紀は「ソーシャルビジネス」だウンタラカンタラだと語られていますが、仕事に求める社会性というのはそれぞれ違うんだということも読み取れます。

それは39ページ
本格ウイスキーの国産化は鳥居の宿願であった。鳥居には「貴重な外貨が舶来洋酒のためにむざむざと海外に流出していた。これをぜひ防ぎたい。それには舶来品もしのぐ優良品を創る以外にない」といった「洋酒報国」の精神があった。そしていま1つに農村との共存共栄という考え方があった。ぶどう酒もウイスキーも、大麦やぶどうを用いた農業製品であり、原料の穀類や果実の需要を増やすことが農村に繁栄をもたらすと確信していた。

鳥井信治郎が生きた時代、社会的意義というのは「お国のためになること」だったんだよね。今とは全く違うのですよ。この「今とは全く違う」前提を知らずに、当時の話を学んでしまうと、頓珍漢なことになるので、ダメなんだよね。

とはいえ、鳥井信治郎の考えには21世紀になっても通じるものがあるのです。それは45ページ
鳥居は、「赤玉ポートワイン」により、「高品質・高生産性」および「販売網の囲い込み」の重要性を学び具体化した。そのさい、「高品質」とは、サプライサイド、すなわち技術者の視点のみを重視したものではなく、あくまでも消費者に受け入れられ、その支持を得られるものでなければならないというものであった。

これ、超重要な考え方だよね。高品質とは「お客様」にとって、受け入れられるものでないとダメなんだよね。トゥーマッチじゃ、だめだし、「足りてる」ってサプライサイドが思っているだけじゃダメなんだよね。

で、鳥井信治郎の考え方は21世紀の今になってもしっかりサントリーには受け継がれているのですが、それがどのように受け継がれているのかが、わかるのが69ページ。

大量生産・大量販売による経済の高度成長が続くなか、ダイニング・キッチンに象徴される西洋式・近代的な生活様式の進展とともに従来になかったテレビや週刊誌などのマスメディアの発達は、新たな大衆文化の形成に多大な影響を及ぼした。こうした瞠目すべき「外部環境」の変化の劈頭に寿屋は真っ先にかつ巧みに乗じた。その主体的な役割を果たしなのは、第二期黄金時代を形成した宣伝部であった。開高健の発案により東京に移った宣伝部は、数々のキャッチ・コピーを案出ししてアンクル・トリスを登場させ、ラジオをはじめテレビCMを積極的に展開した。くわえて「ハイボール」の普及に務めるとともに『洋酒天国』を発刊してトリス・バーへの加盟する店舗増をあと押ししてトリス・ブームを創出した。

消費者の満足するポイントが変わったら、そのポイントに誘導して満足してもらえるような仕組みを整える。それが、サントリーの宣伝部だった、と。「サントリー、宣伝強いよね。やっぱ、サン・アドだよね。なにしろ直木賞作家を2人も出しているしね」なんて表面的なことだけを語られがちですが、そうじゃない、と。

宣伝というか、広告の凄さと、価値がまとめられている文章です。刻々と変化する消費者の満足ポイントを探り、その点に向けて消費者に負担を感じさせず誘導することが、広告宣伝の仕事なんですよ。きっと。


そして、この「消費者の満足ポイントを探る」行為の重要さをCUPNOODLEの父、安藤百福さんのセリフからも読み取れることができる。それは112ページ
他方、海外にもいち早く進出した。もともと「カップヌードル」はアメリカへの「チキンラーメン」の売込み商談の際に着想を得たことから、製品開発に着手した経験があったゆえ、日本国内でのいくつものハードルを乗り越える努力と平行して進出の準備をはじめていた。マーケティング・リサーチをしたほうがリスクロ軽減できるといった内外のアドバイスを受容して調査会社んい依頼した。30万ドルほどのアメリカでの起業資金は、あらかたこの調査に要した。ところが、その調査結果は、どのようにも解釈できる内容であり、有用とは判じ切れなかった。それゆえ、安藤は「自分で調べたほうが肌身に感じていいじゃないか」と考え、「自分でマネキンを雇って、通訳付きで、まずロスアンゼルスの方から東西南北に調べた。

ですよね。ですよね。高い金を出しても、全く見当違いな答えが出てくるレポートがあったりしますからね。なんで、全く見当違いになってしまっているのか?っていうと、それは、「なんのための調査か?」ということが忘れられ「調査のための調査」になってしまっているからなんですよね。

で、安藤百福さんというか、日清食品は他にナニをやったかというと、それが要約されたフレーズが会ったのは114ページ
かくして日清食品は、幾多の工夫と努力を蓄積して製品を開発するとともに製造工場を果敢に建設のうえ改良改善して「高品質高生産性」を継続して追求した。そして他方で総合商社への依存体制から特約店網の構築、そして刷新を経、チキンラーメン会の発足とともに営業支店・出張所の設立による販売網の囲い込みにいを注ぎ、テレビCMを主体とした広告宣伝を積極的に展開し継続したのであった。

変わり続ける外部要因と消費者の満足ポイントをキャッチし続け、それに対応できるように、ひたすら組織を変化させて来たわけですよね。まさに「強い者が生き残るのではなく、 賢い者が生き残るのでもなく、 変化できる者が生き残る」ですわね。

この変化をキャッチしたことによる凄さは、アサヒビール中興の祖・樋口さんのインタビューからも読み取れましたわ。それは207ページ
「ワゴンR」が「カー・オブ・ザ・イヤー」を連続受賞できた理由を質問したさいに、スズキ自動車の鈴木修社長から「機能性」がポイントであると指摘された。そして「スーパーマーケットで買い物をした奥さんが、買い物袋を持ちながら、腰をかがめずに楽に車に乗れる。それが機能性なんだよ」と教えられ、一種の衝撃を覚えた。瀬戸は次のように述べている。
「実は当時、スーパードライの広告には、いまひとつインパクトがなかった。有名人やタレントを起用することは好感度やイメージを上げることには優れているかもしれないが、今の消費者はイメージよりも『機能性』を重視する。それならば、スーパードライの広告ポイントを『機能性』に絞り込めばいいのではないか。その夜、浜松から東京へ変える新幹線の中で、私はこの思いを強くした。


そうだった!それまでビールといえば、水着のおねえちゃんがビアジョッキ持っているイメージが強かった。それと経路と違うものとして、ペンギンが歌うCMのサントリー(歌っているのは松田聖子)があったけれど、それも一瞬だった。でも、スーパードライは違った。ビールなのにコクとキレと鮮度という「旨さ」と全く違う軸で攻めてきた。なんで、そんなことをしたのか?その理由はこれだったのですね。

で、このような商品を扱うお店の例としてダイエーとヨーカドーが紹介されているのです。流通の2強といったら今はイオンとセブン&アイですが、80年代はダイエーとヨーカドーだったんですよね。そしてダイエーとヨーカドーの売上高には大きな差があった。

なんでか?

それは、ダイエーは売上拡大至上主義、ヨーカドーは利益第一生存主義だから。

でも、21世紀に生き残っているのはヨーカドー(セブン&アイ)。ダイエーも消え、マイカルも、サティも、ニチイも、消えた。下の方にいた岡田屋(ジャスコ)が、その辺をまとめて全部飲み込んでいったからなんだけれどね。

なぜ、多くのライバルは消え去っていったのにヨーカドー(セブン&アイ)だけは生き残ったのか?その秘訣が書いてあるのが160ページ

イトーヨーカ堂では、このような状況を「時代の変化に対応しきれなかった構造的かつ全社的な病状」と把握し、業務遂行の手法などを含めた全社的な体制が、消費者の選好に適合しなくなった結果と分析した。そして、「荒天に準備せよ」のスローガンの下で、鈴木敏文常務取締役を中軸に業務改善プロジェクトチームをつくり、企業体質の改革に取り組むこととした。

まるで野村ID野球のような経営戦略ですね。どんな状況でも負けない野球。どんな経済状況でも利益をだす経営。好景気の時に売上が伸びても喜ばない。「荒天に準備せよ」で、不景気な時代に備える。そんなことをバブルの時代から徹底的にやっていたのですから、とんでもないことですよね。まさに、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ですわ。

で、そんなヨーカドー(セブン&アイ)の稼ぎ頭、セブン-イレブンの秘密も202ページにかかれています。それは
セブン-イレブン・ジャパンはいわば「効果効率共進主義」を継続し、「チーム・ロジスティックス」、「チーム・インフォメーション」、「チーム・マーチャンダイジング」からなる「ロジスティックス・マーケティング・システム」によって、スピードアップする消費選好の「加速度的沸騰−一次冷却化現象」に対応した。

ひたすら変わり続けているから生き残り続けていて、勝ち続けているのよね。

いや~すごい本に出会った。



日本マーケティング史―生成・進展・変革の軌跡


タイトル:日本マーケティング史 生成・進展・変革の軌跡
著者:森田克徳
発売元:慶應義塾大学出版会
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名作!)

伝説の通販バイブル

2016年04月28日


著者:西松公児
発売元:日本経済新聞社

やっぱ、通販って面白いよね。そう思える本ですわ。

世の中には、なんちゃってWEBマーケッターがたくさんいるけれど、そういうなんちゃってに引っかからないためにも、この本を読んだほうが良いね。

集客と販売の両方向からマーケティングを考えているところに、共感が持てます。

6年以上通販会社のECサイトのウェブマスターを行っていたため、本書に書いてある内容の多くは知っていることでした。

だからといって、使えない本じゃないのですよ。

たとえば・・・

売れるLPの流れがまとめられているんだけれど、それは・・・

権威性
直感的な方が購入
ターゲットの悩み
アナタにも効くのか
問題解決
理論的なお客様が購入ボタンを押す…1回目購入
信頼性
Q&A
お客様の声
ストーリー

・・・なんですよ。

知らない人が見ると「なんのこっちゃ」なんですが、知っている人が見ると「わかってるねぇ・・・この人」となります。

あと、90ページに「売れる事業計画書のサンプル例」が掲載されているのだけれど、そうそうそう!って感じ。

ちなみに縦軸の項目は

経過月数
年/月
月間新規顧客数
2回目既存人数
3回目既存人数
4回目既存人数
5回目以降既存人数
現役顧客数
新規顧客累計
稼働顧客数年合計
新規顧客売上
2回目既存売上
3回目既存売上
4回目既存売上
5回目以降既存売上
月間売上
売上年計:年商換算
CPO:新規1人あたりコスト
新規宣伝費
売上対新規広告費率
LTV
客単価
必要年間回転数
既存フォロー費
配送費用
代金回収・決済費用
コールセンター費用
一般管理費
粗利益
営業利益
累積営業利益

なんですな。

新規と既存とか、懐かしいねぇ。

昔ながらの通販会社はCRMという言葉を知らなくとも、CRMをやってたんだよね、ちゃんと。

そんなことを思い出させる1冊。



伝説の通販バイブル


タイトル:伝説の通販バイブル
著者:西松公児
発売元:日本経済新聞社
おすすめ度:☆☆☆☆(ですね)

ブランド論 無形の差別化をつくる20の基本原則

2016年04月22日

著者:デービッド・アーカー
訳者:阿久津聡
発売元:ダイヤモンド社

ブランド論の大家、デービッド・アーカーが記したブランドの基本原則。もうさぁ、ブランディングブランディングと世の中大騒ぎだけれど、ブランドはそんなに簡単にできるものじゃない。そういうことがよく分かる本ですわ。

ちなみに、20の基本原則は、それぞれパラダイムのタイトルになっておりまして、それぞれ、こうなっておりますのですよ。

ブランドは戦略を左右する資産である
ブランド資産には真の価値がある
ブランド・ビジョンを生み出す
ブランド・パーソナリティでつながる
組織とその大いなる目標が差別化をもたらす
機能的便益を超えて
競合をイレレバントにする”マストハブ”
イノベーションをブランド化する
サブカテゴリーをフレーミングする
ブランド構築の着想をどこから得るか
顧客のスイートスポットに注目する
デジタル---ブランド構築の必須ツール
一貫性が勝利をもたらす
社内向けブランディングがカギとなる
ブランド・レレバンスを脅かす三つの要因
ブランドに活気を与える!
ブランドにはポートフォリオ戦略が必要
ブランド拡張の方向性を見極める
垂直ブランド拡張のリスクとメリット
ブランド構築を妨害する組織内サイロ

なんだとな。

とはいえ、そもそもブランドとは何かということが、曖昧だと始まらない。ちゃんと本書の一番最初に記されている。

ブランドとは何か?それは、単なるブランド名やロゴマークよりはるかに大きなものだ。それは、組織から顧客への約束である。そのブランドが表すものが、機能面だけでなく、情緒面や自己表現、人間関係においても役立つという約束を守ることである。しかし、約束を守ることがブランドなのかといえば、それでも足りない。ブランドとは長い旅路のようなものである。顧客がそのブランドに触れるたびに生まれる感触や体験をもとにして、次々に積み重なり変化していく顧客との関係なのだ。

もう、ブランドというのは、金を払ったから手に入るとか、デジタルに投資すると手に入るとか、そういうもんじゃないんだよね、ということが再定義されているわけですわな。

で、ブランドがしっかり確立していると、どんないいことがあるかというと

いずれのケースも、価格のみに目が行きがちな圧力に、強力なブランドの力で対抗してきた成功例だ。マネジメントの権威、トム・ピーターズはこの点を匠に表現している。「混み続ける一方の市場において、愚か者は価格で勝負する。勝者となるのは、顧客の心に長く残る価値を生み出す方法を見つけた者だ」

そんなブランドは、じゃあどうすれば作り出せるのか?といったら、その方法は3番めに紹介されている。「ブランドビジョン」をまず創ることなんだとな。

で、最近、デジタルの世界でアドテクがやたらと発達しているので、デジタルで何かするとブランドが生まれそう・・・なんて語る方々もいるけれど、そんなかんたんにブランドは作れるわけがなくて

でも、21世紀においてデジタルはブランド構築の必須ツールであることに間違いなくて、じゃあ、デジタルがブランド構築にどのような役割を果たしているのかというと、それは

●ブランド構築プラットフォームを生み出す
●製品・サービスをふくらませる
●製品・サービスを支援する
●ブランド構築プラットフォームを増強する

という役割なんだとな。

ブランド育成って、あまり今まで興味なかったけれど、そうは言ってられないのよねぇ・・・と思う今日このごろ。



ブランド論---無形の差別化を作る20の基本原則

タイトル:ブランド論 無形の差別化をつくる20の基本原則
著者:デービッド・アーカー
訳者:阿久津聡
発売元:ダイヤモンド社
おすすめ度:☆☆☆☆(日々勉強ですなぁ)

広告ビジネス次の10年

2016年04月21日


著者:横山隆治、榮枝洋文
発売元:翔泳社

著者はどちらもデジタルインテリジェンスという代理店?コンサル?のお偉いさん。もともと、レガシィといいますか、4マスを扱うような広告畑にいた、というかそんな広告畑に育ったかたが、デジタルの領域にやって来ましたよ、という話。

ふつーに生活していてはなかなかうかがい知れない、世界レベルでの広告業界のお話が分かる本であったりします。日本では電通が業界の巨人ですけれど、世界レベルで見たらdentsuって、それほどでもないですよね、と。

で、もう、ホイチョイプロダクション的な、しろくま広告社とカブト自動車的な広告主と代理店の関係性は21世紀において創ることができないというか、存在できないというお話。もう、枠を買って、手数料で設けるようなことはムリですよ、と。まぁ、それそうでしょう。。。と。

しかし、なん中華、本中華、デジタルマンセー!なきもしないのですよ。アドテクノロジーと、レガシィ的な考え方が何か化学反応を起こして、花火がどっか〜んという気もしない。代理店の営業マンが、アカウントプランナーが、ストラテジストが、コンサルタント的に立ち回れないと、世の中生きていけないということは賛同できるんですけれど、そこまで「広告マンセー!」な、気はしない。

いや、著者はそこまで「広告マンセー!」という風には本文では書いていない。しかし、そう読み取ってしまう。DSPも、DMPも、統計的手法も、数学的思考も、手段であって、目的ではない。なのに、本書ではその辺りにかなり力が割かれている。いや、それ以上に「世界の広告業界事情」にもページは割かれているのだけれど、それは本筋じゃないしね。

でも、そんな本書でも、グサグサ刺さった箇所はある。

例えば、次世代型広告代理店のリーダーに必要な資質。それは・・・

1)マーケティングとコミュニケーションの本質を語ることができる
2)マーケティング全体の中に、デジタルを包含しデジタルによって得られる「気づき」をマーケティング施策全体に反映させる構想力をプレゼンできる
3)従来のクリエイティブをデジタルマーケティング/データマーケティングによってどう改革発展させられるかを説明できる
4)次世代型の広告代理店に必要な新たなスキル、またその育成方法について語ることができる
5)ビジネスロジックを十分理解し、マーケティング側からテクノロジーを評価することができる


・・・という点とかね。もう、裸踊りができるとか、接待がお上手とかは、どーでもいい事なんだよねw

あと

Aからはじまるモデルは広告代理店の罠

というフレーズね。AIDMAとか、AISASとか、完全に代理店のポジショントークだとなw まぁ、そりゃそうだ。

というように、本書から得られることは非常に多い。

でもね、広告って、デジタルだろうと、ソウじゃなかろうと、手段であって、目的じゃないと思う。そして、とある店においては友好的だけれど、全てにおいて友好的ではないと思う。そこをちゃんと認識しないと、痛い目にあうと思うのよね。たとえ、最新のアドテクノロジーを知ってたって、使えたって。

そのへんは、失敗の戦略例でよく語られる、フォードのエドセルや、セガのドリームキャストの話が物語ってると思う。そして、これらの失敗例は今の時代でも十分通じると思う。だから、広告関係者は生まれ変わらなければならないし、生まれ変わらなければ生き残れないけれど、生まれ変わったからといって生き残り続ける事ができる保証はないと思うのよね。そんな危うさを本書を読んでいたら感じたわ。




広告ビジネス次の10年


タイトル:広告ビジネス次の10年
著者:横山隆治、榮枝洋文
発売元:翔泳社
おすすめ度:☆☆☆☆(でも、良い本であるには間違いない)

B to B マーケティング&セールス大全

2016年04月17日

著者:岩本俊幸
発売元:同文館出版

著者はB2Bマーケティングのコンサルタント。この本が、著者のマーケティングプロセスの一環であることが、最後まで読むとわかるのですな。

「うん。この本には良いことは書いてあった。この本の著者に連絡を取ってみよう」とおもえるのですよ。これ、紙媒体を利用したマーケティングプロセスなのですな。

で、本書には紙媒体のほか、自社サイト(オウンドメディア)、Web広告(ペイドメディア)、SNS広告(アーンドメディア)、プレスリリース、展示会・イベント、ダイレクトマーケティング、マス広告、交通広告、メールマガジン、セミナー、相談会(個別セミナー)、営業ツール、勉強会・説明会の具体的なプロセスというか、もう、「あなた達、具体的にこうしなさいよ!」ということがしっかり書かれている。

ちなみに、著者が考えるBtoBマーケティングの特徴とは・・・
取引額が大きく、複数回継続的に取引が行われる
決定者が複数人となる
関与者がそれぞれ役割が違う
合理的な判断で選定される
長期的な取引関係
信頼関係が求められる
企業イメージによって商材が選ばれる
商材には付加価値が必要

…なのだそうな。

ちなみに、付加価値はなんぞや?というと、サービス以上のサービスですわ。たとえば、A/Bテストのサービスを販売した時に「いや~Aのほうが良かったですね」という結果だけをユーザに提供するのではなく「なんで、Aがよかったのか?」とか、「さらにAを発展させるにはどうすればいいのか?」なんて話を提供することなのですわ。

ちなみに、著者が認識しているそんなBtoBマーケティングの課題というのは・・・
変化を受け入れられない経営者
個人の力量に頼るBtoB取引の限界
社内で連携が取れない
顧客の購買プロセスを理解できない
BtoBマーケティングwpロジカルに説明できない
成約までの管理が必要

・・・ということなのだとな。

で、B2Bマーケティングにおいては顧客の購買プロセスをしっかりと計測することが重要になるのは、知っていたのだけれど、この購買プロセスを著者はしっかり定義しているのですわ。

それは・・・
フェーズ1:課題が潜在的・未認識
フェーズ2:担当者レベルでの課題顕在化
フェーズ3:関係部門間での課題の共有
フェーズ4:解決策の明確化
フェーズ5:商品・サービス情報収集の本格化
フェーズ6:絞り込み・比較・検討
フェーズ7:商品・サービスの詳細・価格情報の収集
フェーズ8:社内検証
フェーズ9:購入先の内定
フェーズ10:決済・承認


で、そんな見込み顧客の購買プロセスを、企業側からみた場合である、買い手のプロセスは、こうやって整理される。


STEP1:非見込み客(未認知客)
STEP2:コールドリード
STEP3:育成リード
STEP4:ホットリード
STEP5:商談客
STEP6:既存顧客


で、そんな買い手のプロセスと、購買プロセスをマッピングさせると



STEP1:非見込み客(未認知客)
→フェーズ1:課題が潜在的・未認識
STEP2:コールドリード
→フェーズ2:担当者レベルでの課題顕在化
STEP3:育成リード
→フェーズ3:関係部門間での課題の共有
 フェーズ4:解決策の明確化
STEP4:ホットリード
→フェーズ5:商品・サービス情報収集の本格化
 フェーズ6:絞り込み・比較・検討
STEP5:商談客
→フェーズ8:社内検証
 フェーズ9:購入先の内定
STEP6:既存顧客
→フェーズ10:決済・承認


となるのですな。

あるいみあたりまえだけれど、こういうことがちゃんと定義されているので素敵。



BtoBマーケティング&セールス大全 (DOBOOKS)


タイトル:B to B マーケティング&セールス大全
著者:岩本俊幸
発売元:同文館出版
おすすめ度:☆☆☆☆☆(ですわ)

青年と雑誌の黄金時代

2016年02月16日

編著:佐藤卓己
発売元:岩波書店

雑誌。その存在こそがメディアであると定義しての論文集。そもそもMediaってミディウム(中間)の複数形だしなってことで、そのように定義。だって、ディリー単位で発刊される新聞はフローの情報だし、書籍や単行本はストックの情報だし、その間にあるのが雑誌だしね、と。

さらに日付という概念も持ち込んだのが面白い。雑誌って発刊日が未来の日付だよね、と。だから未来を予測するMediaだよね、と。

ここは、おもいっきり頷けましたな。

そうなんですよな。雑誌というのは「今ではないなにか」が詰まっているものなんだよな。それは自分の生活かもしれないし、趣味かもしれないし、考え方かもしれないし、ファッションかもしれない。何かはわからないけれど、今ではない何かが定義されているものなんだよな。

そして、その「今ではない何か」に憧れや、尊敬を感じることができたんだよな。

90年代、ぴあや、東京ウォーカーに代表される情報誌が大ブームだったけれど、これらの情報誌は「今ではない何か」ではなく「今」なんだよな。だから、大ブームになったんだけれど、「今」を表す媒体として雑誌は向いていなかった。インターネットこそが今を表す媒体に向いていたんだな。

だから、雑誌が廃れて、インターネットが栄えたんだよな。

2010年代、雑誌はダメダメになったと言われているけれど、そんな時代でも売れている雑誌はある。人気を集めている雑誌はあるそういう雑誌って「今ではない何か」をきっちり編集の軸においているんだよな。

まぁ、そんな内容を本書を読んでいて思いましたわ。

もう少し、書き手に雑誌愛があったら面白かったんだと思うんだよな




青年と雑誌の黄金時代――若者はなぜそれを読んでいたのか

タイトル:青年と雑誌の黄金時代
編著:佐藤卓己
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆(おもしろいですな)

B to Bマーケティングの基本

2016年01月31日


発売元:日経BP社


IT Proに連載されれいたB2Bマーケティングの話しをまとめた1冊。

収録されているのは
・マーケティングオートメーション
・アカウントベースマーケティング
・インサイドセールス
・メールマーケティング
・セミナー・マーケティング
・動画マーケティング
・マンガマーケティング
・オムニチャネルマーケティング
・サバイバルマーケティング
・リードナーチャリング
・デジタルシフト

「あぁ。。。」というところも多かったけれど、かなり使える箇所もたくさんありました。それはどこかといいいますと。。。

マーケティングオートメーションの箇所ではMQL(Marketing Qualified Lead)、SAL(Sales Acepted Lead)、SQL(Sales Qualified Lead)の説明がなされているのですけれど、で、どこまでがマーケティングオートメーションの領域なのか?どこからがSFAの領域なのか?が説明されているのですけれど、それはSALなのですけれど、ここでマーケティングオートメーションからSFAにシームレスに情報が伝わらないと意味無いですよね、

とか。

コンテンツマーケティングの箇所では「集客型コンテンツ」と「引き金型コンテンツ」と「教育型コンテンツ」をしっかり分けて、考えろよ、と。そして、コンテンツを単体で作るだけでなく、前後の文脈をきっちり考えろよ、と。

で、オムニチャネルの箇所では「オムニチャネル実現のためのキーポイント」が整理されているのですな。
それは(150ページ)。。。

1.顧客中心による、組織横断的な顧客戦略・業務プロセスの再構築
 ●従来型の商品単位、チャネル分断を排するための組織横断CRM(顧客関係管理)組織とマネジメント層の関与
 ●従来型KPI(重要業績評価指標)の再設計、縄張り意識の解消(リアルとネットでの顧客の奪い合い)
 ●顧客にとって利便性の高いカスタマージャーニーマップの設計
 ●高コストの対面チャネルと低コストの非対面チャネルの効率的な連携
2.カスタマーシングルビューの実現と顧客インサイトの一元管理
 ●全顧客タッチポイント情報の一元管理
 ●顧客インサイトを導出する分析エンジンの一元管理
  例)ライフスタイルセグメントモデル、レコメンドモデル、商品制約予測モデル、イベントなど
3.チャネル間を連携するリアルタイム・システム基盤
 ●インバウンド/アウトバウンドを問わず、チャネル横断で、顧客コンテキストを理解した一貫性のあるシナリオ設計・コンタクト管理
 ●インバウンドニーズ発生時に、適切に即応できるリアルタイムオファー


オムニチャネルとはなんぞや?と問われた時に、これを説明すれば終わるわね。長いけれど。

あと、良いマーケティングってなんぞや?ということも端的に説明されているのですわ。それは(176ページ)。。。

1.達成したい目標から逆算して設計されている
2.目標到達までの仮定が数字で語られている
3.いつ、誰が、何をするかが明確である
4.社内で共有して一丸となれる
5.継続的にPDCAを回せる


だそうな。

で、これをもっとシンプルに言い表した言葉が171ページにある。それは「目的とする成果を達成するためのプランを事前に設計しているかどうか」ということですわ。これをしているかしていないかで、成功率が大きく変わってきますとな。



BtoBマーケティングの基本 IT化のインパクトを理解する12の視点(日経BP Next ICT選書)


タイトル:B to Bマーケティングの基本
発売元:日経BP社
おすすめ度:☆☆☆☆(具体的に使える本ですな)

アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話

2015年12月19日

著者:森本千絵
発売元:サンマーク出版

サントリーのボスなんかのアートディレクション(というのか?)を担当していた、元博報堂で現goenの森本千絵が著者。

昔から絵が好きだったのねって話と、すげー徹夜していたんだねって話と、裸でお掃除って何?って思ったりもしてしまうのですが、いい本ですわ。

まず、広告についてちゃんと整理してくれるのが良い。

広告は、映画館に言ってお金を払って見るものでもなければ、テレビ番組表を見て時間を合わせて見るものでもありません。ドラマを見ていたら流れたテレビコマーシャルや街を歩いていたら見かけた交通広告、雑誌を広げたら載っていた広告といったように、意図していない時に不意に出会うものです。
その突然の出会いの中で、広告に使われている言葉、もしくは写真や絵が「いまの私自身」にすごく響くなと思うものだったら、その人とその広告はいい出会いをしたわけです。そういう「いい感じ」の衝撃を与えてくれるものに、私の広告がなれたら嬉しいと思っています。


これは激しくアグリーだな。

あと

以前、Twitterで私に「クリエイティブ・ディレクターになるためのアドバイスをください」という書き込みがあったので、私はこう書きました。
「感動し続けてください」と。
感動するということは、たくさん心を動かすレッスンです。


これも激しくアグリーだな。

昔、井上陽水が同じようなことを言っていたのを思い出しますな。

感度ぷってほんとうに重要なんだよな。

そう思う今日このごろ。

そんなことを気づかせてくれる1冊ですわ。



アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話


タイトル:アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話
著者:森本千絵
発売元:サンマーク出版
おすすめ度:☆☆☆☆☆(よい)
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