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問題解決のジレンマ

2018年01月29日


著者:細谷功
発売元:東洋経済新報社

サブタイトルは「イグノランスマネジメント:無知の力」ですね。

無知の知から始まる問題認識の重要さを説く、細谷功さんだからこその著書。

いやいや、無知であることを知っている時点で無知じゃなかろうな、という突っ込みがきそうなのですが、知らないことを認識していないと、それは「知ってるつもり」になってしまい、問題認識もできなければ、問題発見もできなくなってしまうということなのですな。

ちなみに、さらに筆者は
これまで知の世界で重要視されてきた「知識」「専門家」「ストック」「閉じた系」「固定次元」という、問題解決を効率的に行うためのキーワードは、すべて問題発見の<世界ではマイナスに働くことがご理解いただけたと思う。

と語るように、AIだなんだかんだと言われる時代にあって、従来型のかしこは、単なる足枷でしかないことも、問題解決におけるジレンマであると、説いている。

問題を解決しようと、従来型の方法で頑張れば頑張るほと、問題は、解決できなくなると。

インターネットの発達と、AIをはじめとする認知・処理技術の発達から、フツーに知識をたくさん知っているだけでは、問題を何も解決できない時代になっているということである。

たんなる知識量を競うなら、グーグル先生に頼れば良いのだから。

このような時代にあって、では、どのようなスキルが重要であるかというと、細谷功さんは
新しい線を引き直すことができる人

と言っている。これはどういうことかと言うと、新しい線を引ける≒イノベーターであるとのことだ。

旧来の枠組みの中で最適化を目指すのではなく、枠組みを新しく作れる人こそ、重要であるということですな。

で、なんでそうなってしまったかというと、情報量の多さに重要性がなくなったから。知識量わ競っても、グーグル先生には勝てないから。昔は蔵書の数を自慢することできたけれど、いまは、全く自慢にならない。への足しにもならない。蔵書の数よりも、どれだけ本を読み込んで、そこからどのような気づきを得て、具体的にどのような動きを行うのか?の方が大切になっている。

このような状況を指して著書は

ストックからフローへ

時代の流れが変わったと、語る。

で、ストック時代にありがたられていたイソップ寓話の「アリとキリギリス」を例に取り、時代の流れが変わったのだから、重要になるのはアリの生き方ではなく、キリギリスの生き方だと語る。

アリの生き方は決まった変数の中での最適化であるが、キリギリスの生き方新しい変数の発見である、と。で、その新しい変数を見つける目的変数はラクをすることであるという。ラクをするためには努力を惜しまないので、次々と新しい変数や、それこそイノベーションを生み出すというのだ。

となると、「キリギリス的な生き方をしていると良いことあるのか?」となってしまうが、それだけでは人生が、楽しいだけで、あまり良いことはない。問題発見や、問題の解決は、少なくともできない。

では、どうすればよいのか?というと、著書はメタの視点だという。日本語に直すと気づきの視点になるという。

全体俯瞰して、問題を構造化し、抽象化していく。そうすることで、真の問題を発見することができると。

具体的な事実起点となる問題があり、それを抽象化して本質に迫り、イメージできる具体化を行い解決策を導き出すと。

で、ここで重要になってくるのが思考の軸と抽象化へのキーワードであるwhyであると。

思考の軸というのが、いわゆるMICEの世界を作るもので、もれなくダブりなく思考を巡らす軸のことである。そこから考えると、思考の軸とは、定量的/定性的と帰納的/演繹的になる。

で、これで思考を分類して、whyを使い、考え方を高めていくというのである。トヨタ式ではないがwhyを五回繰り返せば、現状見えている問題よりも深い(細谷功さんの場合は高い)次元に到達することができる。それにwhyを五回繰り返すのはwhy×五ではなく、whyの五乗なので、事象の細分化も可能となる。

言われてみるとシンプルであるが、「そんなことかんたんだよ。原因は○○だよ」と知ったかした瞬間に全ては終わる。

だからこそ重要なのが無知の知なのである。



問題解決のジレンマ―イグノランスマネジメント:無知の力 Kindle版

タイトル:問題解決のジレンマ
著者:細谷功
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名著)
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外資系コンサルの真実

2018年01月11日


著者:北村慶
発売元:東洋経済新報社

この本は素敵だ。読む前までは「どーせ単なるマニュアル本だろう」と思っていたのですが、全く違った。

考え方と働き方を教えてくれる素敵な本だ。

どこを読んでもためになることだらけだけど、とくにこの辺が刺さったわ。
こうした環境下にあって、他弱の一つであった「ボストン・コンサルティング」がとった戦略は、つぎのようなものでした。
(1)業界リーダーの「強み」を徹底的に分析する。
(2)その「強み」とは異なるところに、ミズからの「価値訴求」を設定することで、ギョリーダーとの直接対決を避ける。
(3)業界リーダーの顧客と同じ業界に属するライバル会社を、自社の潜在顧客としてセールス活動を集中する。
(4)以上の戦略により、二番手グループの中でのトップを目指す。
(5)その後、ほかの"多弱"とは完全に差異化できた段階で、READERと直接対峙する。

これはいろんな業界で使えて、これがこの本で一番心に刺さった内容でしたわ。

あとこれ
「世界再興のコンサルティング・ファームは、マッキンゼーである」というブランド・イメージができ上がっている以上、それと同じ路線では顧客にアピールすることはできず、かりに、顧客を獲得できても、"マッキンゼーの亜流"として、手数料の値引きを要求されるケースも多く見られたのです。

ですな。これも、心に刺さるwwだって、亜流だものね。

あとは有名だけど、仮設検証のPDCAサイクルの流れ

インタビュー・データ分析

課題の洗い出し

課題の構造化

本質的課題の絞込み

解決のための予備的仮説の構築

行動・情報による仮説検証
↓↑
進化した仮説の構築

解決策実行の行動計画策定(マイルストーン設定)

実行支援(マイルストーン・チェック)

ですな。

あと、これも有名だけどボスコンのPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
市場成長率と相対市場シェアを高/低でセグメントして、そこに自社製品をマッピングするやつね。

あと、マッキンゼーが開発したビジネススクリーンね。
事業の魅力度と事業単位の地位(自社の強み)の軸をそれぞれ低/中/高で分割して、そこに利益回収、現状維持、増強、各事業をマッピングしていくと。

これは色々使えそうだな。

この本は物事を考えるということに使える素敵な本ですな。

あと、コンサルの限界もちゃんと書いてあるのが良かった。コンサル変えたって、同じレポートが上がってくるかもしれないし、コンサルを活かすも殺すも、クライアント企業の社長しだいだとな



外資系コンサルの真実―マッキンゼーとボスコン


タイトル:外資系コンサルの真実
著者:北村慶
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆(良い本です)

反知性主義

2017年10月23日
著者:森本あんり
発売元:新潮社

久しぶりに、良い本を読んだな、という気がする1冊。
自分に知識を植え付けるために、内容を血と肉にするために、何度も読み返してしまった。

サブタイトルは「アメリカが産んだ熱病の正体」ですな。

ブッシュJrが大統領だった頃から、言われ始め、トランプが大統領に当選したタイミングで、一気に広まった「反知性主義」という言葉。日本国内で使われている、いわゆるB層をおだてておけばOK、やつらテレビしか、それもバラエティしか見ないし、という解釈に納得しないので、読んでみたら、超しっくり。

そもそも反知性主義を語る前に、「知性」について理解する必要があるわけで、それは
「知性」とは、単に何かを理解したり分析したりする能力ではなくて、それを自分に適用する「ふりかえり」の作業め含む、ということだろう。知性は、その能力を行使する行為者、つまり人間という人格や自我の存在を示唆する。知能が高くても知性が低い人はいる。それは、知的能力は高いが、その能力が自分という存在のあり方へと振り向けられない人のことである。だから、犯罪者には「知能犯」はいるが「知性犯」はいないのである。
と。

なに言葉遊びしてんだよ!と突っこみ入りそうですが、まずは、知性について定義しないとだめでしょ、と。

で、そうなると反知性主義とは
知性が欠如しているのでなく、知性の「ふりかえり」が欠如しているのである。知性が知らぬ間に越権行為をしていないか。自分の権威を不当に拡大使用していないか。そのことを敏感にチェックするのが反知性主義である。もっとも、知性にはそもそもこのような自己反省力が伴っているはずであるから、そうでない知性は知性でなく、したがってやはり知性が欠如しているのだ、という議論もできる。どちらにせよ、反知性主義とは、知性のあるなしというより、その働き方を問うものである。
いや~、反知性主義について知りたいのであればこの本を読めと色んな人が言っていましたが、まさにそうだな。
あと、キリスト教をちゃんと学びたくなったな。



反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―(新潮選書) Kindle版


タイトル:反知性主義
著者:森本あんり
発売元:新潮社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(ものすごく良い本)
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