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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2014年5月号

2016年02月20日


発売元:ダイアモンド社

特集は「アナリティクス競争元年」ですな。

まず、気になったのが「携帯端末広告をもっと機能させる法 Making Mobile Ads That Work」という論文(ピッツバーグ大学カッツ・スクール・オブ・ビジネス助教アンドリュー・スティーブン、INSEAD助教、コロンビア・ビジネス・スクール助教)ですな。

スマホなどに表示する広告で、ちゃんと効くのは「実利的」で「真剣度が高い」商品なんだとな。具体的には生命保険、家具、スポーツ・ジム会員権、証券サービスなんだとな。「真剣度が高い/真剣度が低い」「快楽的/実利的」という2軸4象限でプロットしていくのがよいのだと。スマホとかタブレットって、身近なものだから身近な商品、例えばコーヒーや、映画の鑑賞券、キャンディ、ビールの購入が効果的なんじゃないかと思ったら、逆だったのね、と。

次に気になった論文は「ビッグデータによる競争は終わったアナリティクス3.0 ANALYTICS3.0」(バブソン大学特別教授トーマスH.ダベンポート)ですな。

アナリティクス3.0の話の前に、1.0と2.0の説明を。アナリティクス1.0がビジネスインテリジェンスの時代なわけですよ。コンピューターを使って、いろんなアナリティクスができるようになった、と。GooglaAnalyticsやSiteCatalystの登場が後押しをした時代ですな。アナリティクス2.0がいわゆるビッグデータの時代ですわな。SNSの登場で爆発的に取得できるデータが増えた&クラウドの流行でデータを貯めるコストが減った時代ですな。

で、アナリティクス3.0の時代は単にデータを分析するのではなく、分析した結果を元に製品やサービスを強化していくって時代ですわ。それまでの時代と似てるんじゃね?って気がしなくもないですが、3.0になって、はじめて「アウトプット」を考えるようになったんだな。それまでは「分析屋の分析結果って使えねーよ」って製造の現場で言われていたのが、そうじゃなくなった。ってか、そうじゃなくなるようにしなきゃダメってことだな。


次に気になった論文が「コミュニケーション軽視の風土を改善するグーグルは組織をデータで変える How Google Sold Its Engineers on Management」(ハーバード・ビジネス・スクール教授デイビッドA.ガービン)ですな。

Googleでは優れたマネージャに共通する8つの行動を定義したのだな。
1)優れたコーチである
2)チームを力づけ、こと細かく管理しない
3)チーム・メンバーの仕事上の成功と私的な幸福に関心を示し、心を配る
4)建設的で、結果を重視する
5)コミュニケーション能力が高く、人から情報を得るし、また情報を人に伝える
6)キャリア開発を支援する
7)チームのために明確なビジョンと戦略を持つ
8)チームに的確な助言をするための、主要な専門的スキルを持ち合わせている


へたな自己啓発書と違うので、わかりやすくて、具体的だわ。

で、今月号で一番ハマったというか、おすすめの記事が「インタビュー 消費者の心理はデータから読めるか データは構想に従う Big Data --- Is It Important for Companies?」(セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者CEO鈴木敏文)ですね。いや、すごい。この人、天才だわ。すごい。この会社で働きたくはないけれどwこの人はマジですごいと思う。そう思えるインタビューだ。

POSってレジの打ち間違えを防ぐ機械だったということを思い出しましたわ。そんなPOSを「正しく販売データが取得できる仕組み」として捉えて、そのデータを分析することに使い始めたんだってな。

で、他にどこが「すごい」と感じたかというと・・・

想像さえできれば、動き出すことは難しくはありません。やる前から「コストがかかるのではないか」「利益が出ないのではないか」と考えて動けなくなるケースが多いようですが、ニーズがあるという仮説が成立すれば、実現するためにどうすればいいかと考えるだけでいい。できない理由を探すのではなく、できるように近づけていけばいいのです。

これだけだと、よく聞く話だけれど、これにもどついて、実際にセブン銀行を始めたんだとな。ATMだけの銀行なんて儲かるわけ無いだろう・・・と、みんなから反対されたのに、「コンビニにATMがあれば便利だし、使ってくれるニーズがある」って仮説を立てて、「それなのに儲からないのはなぜか?」と課題を設定して、「ATMの設置コストを下げれば、ATMだけの銀行が利益を生むはずだ」と解決方法を見つけて、1台200万円のATMを開発したんだとな。一般的なATMが1台800万円するのにね。機能を豪快に削ってね。そりゃ、形だけを真似したほかのコンビニ系銀行が儲からないわけだよな、とおもうのですわ。


あと、セブン-イレブンつながりで面白かった論文「つまるところビッグデータは不要かもしれない You May NOt Need Big Data After ALL」(マサチューセッツ工科大学スローン・スクール・オブ・マネジメント情報システム研究センターディレクター ジャンヌW.ロス、テキサス大学オースティン校名誉教授シンシアM.ベアス、マサチューセッツ工科大学スローン・スクール・オブ・マネジメント情報システム研究センター博士研究員アン・クアードグラス)ですな。

この論文にある、この文章が痛烈だったな。

店員の意思決定を支援するため、鈴木は各店舗に売上日報と天気予報などの補足情報を送付した。日報には、前日の売上品目、前年同日の売上品目、直近の似た天気の日の売上品目、他店の販売状況が詳述されていた。
セブン-イレブンは生鮮食品を扱うので、配送を一日三回にし、店員が実需に基づいて発注できるようにした。また、店員とサプライヤーを結びつけ、地域の顧客の嗜好にあった商品の開発を推奨した。その結果、セブン-イレブンは日本で30年以上、最も利益を生み出す小売業者となっている。
これは、ビッグデータに関する話でも、データへの巨額投資に纏わる話でもない。数多くのリトルデータに関する話である。より重要なのは、優秀な人材が適切なデータを利用して適切な意思決定をする能力に、自らの事業の成功をかけた話だということだ。


日本でビッグデータがブームに終わってしまった理由が、逆説的にここに書かれていますな。だって、日本の小売業で最も成功しているセブン&アイ、セブン&アイはデータ活用で最も成功している企業だけれど、ビッグデータを扱って成功していたんじゃないんだよな。




Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 05月号 [雑誌]

タイトル:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2014年5月号
発売元:ダイアモンド社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(よいね)
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