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ダイジェスト版 オリバー・ストーンのアメリカ史講義

2017年11月09日


著者:オリバー・ストーン&ピーター・カズニック
発売元:早川書房

映画監督と歴史家が、書き下ろしたアメリカの近現代史。

学校の授業では習うことのない話が満載でありますな。
アメリカがどのように富を貯え、世界をどのように欺いていったのか、という話ばかり。

オリバー・ストーンの主義主張がしっかりと込められている文章なのだけれど、それはそれで、ということで面白い。

ある意味、司馬遼太郎の歴史小説みたいなものか。

まぁ。こっちは、真実ばかりだけれど。

民主党にも共和党にも、資本主義にも共産主義にも、帝国主義にもファシズムにも、全方位に喧嘩を売っているスタンス。

とりあえず、戦争は絶対反対という立ち位置。これは、オリバー・ストーンがベトナム戦争に参戦して、負傷した経験があるからなんだろうな、と。

そりゃあ、アメリカも世界の政治の裏舞台で暗躍していたでしょうか、それはソビエトも、中国もおなじなわけで。

イロイロと考えさせられて、引き込まれる内容でしたな。ダイジェスト版ではなく、本編を読みたくなりましたな。




〔ダイジェスト版〕オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義


タイトル:
ダイジェスト版 オリバー・ストーンのアメリカ史講義

著者:オリバー・ストーン&ピーター・カズニック
発売元:早川書房
オススメ度:☆☆☆☆☆(超面白い)
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カラシニコフ銃 AK47の歴史

2017年10月14日
著者:マイケル・ホッジス
発売元:河出書房新社

サブタイトルは、「世界で最も愛された民衆の武器」ですな。
そんなわけでしてAK47の歴史や特徴にスポットライトを当てるのではなく、「世界中でどのように使われてきたのか?」にスポットを当てる。

ドイツ軍のカービン自動小銃に対抗するために生まれたAK47はソビエトをナチスから守っただけでなく、ベトナムをアメリカから開放した。

その後はテロリストの手頃な武器として、西側諸国や、アメリカを苦しめた。

もちろん、世界最大の銃大国であるアメリカでもAKは購入可能。しかし、M16や、ドイツのH&Kのサブマシンガンなどと比べると、いまいちめじゃーではない。

でも、それはアメリカだけの話。

世界中のテロリストにとって、この70年も前に基本設計がなされた銃がメジャーなのよね、と。



カラシニコフ銃 AK47の歴史

タイトル:カラシニコフ銃 AK47の歴史
著者:マイケル・ホッジス
発売元:河出書房新社
オススメ度:☆☆☆(オモロイね)

日本駆逐艦物語

2017年09月01日


著者:福井静夫
発売元:光人社

日本における駆逐艦の歴史を紐解いた一冊。
専守防衛な第二次大戦後には、こんな攻撃に特化した船舶なんて、日本にはないけどな。いや、名前だけな。

ちなみに 駆逐艦とは、こういう意味。

もともとの名前を水雷艇駆逐艦(torpedo-boat destroyer)と呼び、水雷艇(torpedo-boat)を駆逐する艦種だった。第二次世界大戦までは魚雷を主兵装とし、駆逐艦隊は別名水雷戦隊と呼ばれていた。出現当初から第二次大戦のころまでは、軽巡洋艦より小型だが砲艦より大型で、航洋性を有しており、軽装甲であるが高速で汎用性が高いといった位置付けだった。

20世紀後半から現代にあっては、戦艦や巡洋艦といった、駆逐艦より大型の艦が過去のものとなった、あるいはなりつつある。その一方でフリゲートやコルベットといったより小型の艦が存在感を増している。駆逐艦自身も大型化し、現代海軍では航空母艦や揚陸艦に次ぐ大型の軍艦となりつつある。


まったく、今の日本じゃ、教えてはくれないけれど、戦前の日本は世界有数の軍事大国で、そりゃ、最初はイギリス海軍のコピーだったかもしれないけれど、気がつくと駆逐艦をフランスや、イタリアに輸出していた(というか、そこの国に向けて生産していた)という事実もあるのよね。

そんなことまで、わかる本ですね。



日本駆逐艦物語 (福井静夫著作集―軍艦七十五年回想記)

タイトル:日本駆逐艦物語
著者:福井静夫
発売元:光人社
おすすめ度:☆☆(もはや、教科書ですな)

キリシタン大名

2017年06月17日
著者:岡田章雄
発売元:吉川弘文館

悲劇の代名詞的に語られることの多い、キリシタンや、キリシタン大名。

でも、神様の下では平等なはずのキリスト教の教えを、農民や町人を支配していた大名がどうやって広めたのでしょうか?

という中学生の素朴な疑問から始まる本書。無駄に弾圧ばかり描かれることもなければ、鎖国政策を美化するような話が描かれているわけでもない。

16世紀ヨーロッパにおけるキリスト教の力関係とヨーロッパ各国の力関係がしっかり説明され、そして、日本国内の状況も説明されてるのがよいですわ。

そして、やはり、「男色を認めないオタクの神様、ダメなんじゃね?そこは認めた方が流行るよ」という話をしたんだな、大内義隆が。

不幸のバロメーターと呼ばれているキリスト教が、日本で広まらなかったのは、日本人がそれほど不幸じゃなかったというのもあるのでしょうが、日本各国、特に西日本の統治者が、自国領地を豊かにするために、ヨーロッパを利用してたからなのだろうね、と思うわけよ。

織田も、豊富も、徳川も。毛利も、島津も、大友も、北条も、伊達も。自国領地が豊かになるために、ライバルを蹴落とすために、ヨーロッパ諸国や、キリスト教を利用した。

高山右近のように、心からイエスに信仰を寄せていた大名や、武将もいたのでしょうが、それは少数派であった、と。




キリシタン大名 (教育社歴史新書 日本史 86)


タイトル:キリシタン大名
著者:岡田章雄
発売元:吉川弘文館
おすすめ度:☆☆☆(良い本ですな)

ベストセラーの世界史

2017年06月15日


著者:フレデリック・ルヴィロウ
発売元:太田出版

世界各国のベストセラーの話がぎっしりと詰まった本なのですわな。

まぁ、ベストセラーNo1は聖書で次は毛沢東の書籍だったりするんだけれどな。

文化を凝縮したものが本であり、ベストセラーであるということがわかる。




ベストセラーの世界史 (ヒストリカル・スタディーズ)


タイトル:ベストセラーの世界史
著者:フレデリック・ルヴィロウ
発売元:太田出版
おすすめ度:☆☆(ふむ。。。)

銀座と資生堂

2016年10月19日

著者:戸矢理衣奈
発売元:新潮社

サブタイトルは"日本を「モダーン」にした会社"ですわ。日本最大の化粧品会社にして、銀座を代表する企業。なにしろ、銀座のどまんなかで今も昔も、化粧品だけでなく、ファッションや文化自体を発信し続けている会社なのですから。

そんな資生堂の歴史をわかりやすく紹介してくれた1冊ですな。

銀座にパーラーもあり、ギャラリーもある資生堂ですが、創業から50年くらいは「新橋資生堂」と名乗っていたんですってな。これは知らなくて、ちょっとびっくりしたのですけれど、日本の近代史を横においてみれば、なるほどなっとくなのですよ。だって、日本ではじめて鉄道が敷設されたのは新橋・横浜間なわけでして、今は東京駅が玄関口で、新橋はオヤジの街の代名詞だけれど、明治初期はそうじゃなかった。新橋が鉄道の玄関口だったわけですわ。

だからの「東京新橋資生堂」だった、と。

しかし、資生堂初代社長の福原信三は、この「東京新橋資生堂」というイメイージを「東京銀座資生堂」に変えていった、と。

なぜ、変えていったのか?

東京の中心地が新橋・汐留から東京・銀座に移ったから。

一言でまとめてしまうと物凄くシンプルだけれど、明治・大正・昭和の時代の流れに合わせた大変革だったわけですよ。ある程度、国のイメージや、都市のイメージが確立していた時代でいでもなかったわけですし、森ビルや、三菱地所のようなDeveloperもいなかったわけで、文字通り、手探りで、「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」というじだいから、列強各国とやりあうまでに育っていったわけですよ。

そんなある意味、国策とも言える、まちづくりに資生堂は沿ってきた、と。

パーラーも、ギャラリーも、云うてしまえば、化粧品も、そんな時代の流れにそって生まれ、育ってきたのだということがよく分かる本ですわな。江戸時代的な価値観で、女性が外出して、おしゃれを楽しむ、着飾って観劇を楽しむって文化が生まれなければ、資生堂が販売するような化粧品はそもそも必要なかったりするわけでさ。

文化の香りをさせる化粧品会社なわけですけれど、黙っていたら文化の香りがするようになったわけじゃない、ということがよく分かる本ですわ。

いろいろと考えさせられる本なわけですわな。




銀座と資生堂―日本を「モダーン」にした会社―(新潮選書)

タイトル:銀座と資生堂
著者:戸矢理衣奈
発売元:新潮社
おすすめ度:☆☆☆(化粧品好きだけでなく、銀座好きにもおすすめできる1冊)

イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑

2016年09月30日

文:宮澤優
絵:平野恵理子
発売元:原書房

平成になってもうすぐ30年なわけですが、そんな平成の世では忘れ去られてしまったような仕事が色々と解説されております。

が、昭和といっても、高度経済成長が始まるまでの時代の仕事が多いようで、「三丁目の夕日」や、「男はつらいよ」的な時代の話が満載でございます。

なんて、書いていますが、赤帽(宅配便ではなく、国鉄の主要駅で乗降客の手荷物を運ぶ人のこと)は上野駅では平成12年まで、東京駅では平成13年まで、岡山駅では平成19年まであったそうな。

このポーターさんこと、赤帽さん、日本へのインバウンド旅行者が増えた今の時代にはピッタリな仕事だと思うのですけれど、ね。

あと、「喜びも悲しみも幾歳月」のモデルとなった灯台守こと灯台職員も平成18年まで存在していたのだとな。

ちなみに灯台守がいた最後の灯台は長崎県女島灯台なんたとな。

クイズにでそうな話ですな。




イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑
タイトル:イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑
文:宮澤優
絵:平野恵理子
発売元:原書房
おすすめ度:☆☆(ある意味、日本の近現代ですな)

森鴎外の帝都地図 隠された地下網の秘密

2016年07月16日

著者:秋庭俊
発売元:洋泉社

実に面白い本。

東京の地下には謎が隠されている。その謎を森鴎外が残した地図をもとに解き明かそうと言う本。

まず、正確な地図はすぐ簡単に絵に入る。そんな前提条件をは捨てた方がよいね。そんなに簡単に手に入らないのよ。重要な軍事情報だからね。だから、Googleはすごい。

なんて話をハサミながら、森鴎外の地図のもとになった、そもそもの江戸の町を誰が作ったのか?というところまで、話は遡る。

太田道灌が町を開いて、今の江戸を作ったのは徳川家康でしょということになるのだけれど、江戸の町割りはだれが考え、日比谷の入江を埋めさせたのは誰なのか?というところに話が及びますル。

この本では、それを三浦按針と、ヤン・ヨーステンであるとしているのですな。オランダ流の築城方法に良くにているとな。

基本は埋め立て地であり、地下であり、水道である、と。巨大な地下通路が江戸の町に張り巡らされていた、と。巨大な地下空間があったから、あっという間に地下鉄だってできちゃうのさ、と。

そんなリアルと空想がいい塩梅にまとめられた一冊。



森鴎外の「帝都地図」 隠された地下網の秘密


タイトル:森鴎外の帝都地図 隠された地下網の秘密
著者:秋庭俊
発売元:洋泉社
おすすめ度:⭐⭐⭐(面白い)

マッカーサーと日本占領

2016年07月12日

著者:半藤一利
発売元:PHP


日本の昭和史を語らせたら右に出るものがいない半藤一利の本。

今回はマッカーサー元帥の日本統治にスポットを当てました、と。

マッカーサーと昭和天皇が並んで写っているあの有名な写真、実はスリーテイク目の写真だったのね。

半藤一利的には日本国憲法とマッカーサーの思い(マッカーサーは日本を太平洋のスイスにしたかったのだと)を重ね合わせて伝えたかったのでしょうが、私はマッカーサーの歴史というか、成り立ちというか、生い立ちに興味が引かれましたな。

アメリカ南部出身の裕福な軍人の息子がマッカーサー。マッカーサーの部下がトルーマンだったのな。



マッカーサーと日本占領


タイトル:マッカーサーと日本占領
著者:半藤一利
発売元:PHP
おすすめ度:⭐⭐(うむ。。)

東京今昔物語

2016年06月10日
著者:東京都不動産鑑定士協会
発売元:実業之日本社

この本、素晴らしい。東京の歴史というか、都市計画がよくわかるのですよ。

それそれの街にゆかりのある企業が、自社の歴史を踏まえて、街の歴史を語っているのが良い。自社の歴史=街の歴史をなので、自分マンセーになっていないのがよい。

登場というか、紹介されているのは

銀座と資生堂の歩み
丸の内の街と三菱地所の歩み
日比谷の街と帝国ホテルの歩み
恵比寿の街とサッポロビールの歩み
田園調布と東京急行電鉄の歩み
新宿の街と中村屋の歩み
超高層ビルと三井不動産の歩み
明治神宮外苑と明治記念館の歩み
日比谷公園と松本楼
国立学園都市開発と西武グループの歩み
虎ノ門神谷町界隈とホテルオークラ東京の歩み
赤坂界隈と虎屋の歩み
浅草橋界隈と吉徳
葛飾とタカラトミー
「都市をつくり、都市を育む」森ビルの歩み
石川島、豊洲とIHI
京橋と味の素社の歩み
浅草界隈とマルベル堂の歩み

やっぱ、街が会社をつくり、会社が街を作るんだな。

ちなみに、明治五年に銀座の街が整備される時には、ちゃんと道路計画がたてられていたんだよ。

煉瓦街の建築計画では、面する道路の広さにあわせて家屋も3等級に分けていた。一等家屋は十五間(27メートル)幅道路に面した2階建てで、二等家屋は八間(14.5メートル)幅道路に面した2階建てで、三等家屋は三間(5.5メートル)道路に面した平屋建てとし、それぞれ長屋型の連携屋形式とされた。

もうさ、21世紀になっているのに、クルマ一台分の幅もない道路に面した家に住んでいるて、どうなの?とおもう。

個人的に都心や、街中には全く住みたくない(山手線の内側に6年住んだ結論)のですが、じゃあ、どんな田園都市が良いのかと言うと、日本ではじめて田園都市開発を行った東急は、田園都市の定義を以下のようにしている。

1 土地高燥にて大気清純なること
2 地質良好にして樹木多きこと
3 面積少なくとも十万坪をゆうすること
4 一時間以内に都心の中心地に到着し得すべき交通機関を有すること
5 電信、電話、電灯、瓦斯、水道等をの完整させること
6 病院、学校、娯楽部等の設備あること
7 消費組合の如き社会的施設も有すること
8


なんだと。

やっぱ、ゴミゴミした街じゃダメなんだよな。

ちなみに、日比谷公園はその計画の段階から「やっぱ、都心にも緑溢れる公園が無いと環境悪くなっちゃうよね」という考えが含まれていたそうな。

もう、ダメダメだな。戦後の日本。ゆとりある街作りがなされていれば、今発生している問題の多くは解決できているのにな。



東京今昔物語


タイトル: 東京今昔物語
著者:東京都不動産鑑定士協会
発売元:実業之日本社
おすすめ度:⭐⭐⭐⭐(良い本です)

ロックフェラー家と日本

2016年05月26日

著者:加藤幹雄
発売元:岩波書店

アメリカのビリオネアで、名門一族であるロックフェラー家と日本の関係を、淡々と綴った1冊。

個人的にはロックフェラー家と日本の著名人(昭和天皇や豊田章男社長を含む)の関係性よりも、ロックフェラー家、そのものの歴史が非常に面白かった。

陰謀厨な方々にとって、ロックフェラー家と言ったら、ネオコンと安倍晋三とともに世界を操るユダヤ資本にくくられてしまいそうですが、ロックフェラー家ってドイツ系なのね。もともとの名前はロッゲンフェルダー。ドイツのライン地方に住んでいたらしいのですが、もっと遡るとフランスのロクフイユ一族までたどり着くんだってな。カトリックではなく、プロテスタントのユグノー一派で、フランス→ドイツ→アメリカと移住してきたんだとな。

そして、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神を地で行くような教育方針がロックフェラー家にはあるんだとな。

そんなロックフェラー家の精神が受け継がれている国際基督教大学に行けばよかった。。。と、この本を読んだら思いましたな。偏差値28のFラン・ミッション系大学などではなく。



ロックフェラー家と日本――日米交流をつむいだ人々


タイトル:ロックフェラー家と日本
著者:加藤幹雄
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆(ある意味世界史の教科書ですな)

最強の成功哲学書 世界史

2016年05月14日
著者:神野正史
発売元:ダイヤモンド社

著者は河合塾の講師。読み終わったあとに知りました。

だからなのね。この中途半端さ。誰に向けてナニを伝えたいのかが、いまいちよくわかりませんでした。

歴史「を」学べではなく、歴史「に」学べ、という考え方には非常に共感できるのに。

司馬遼太郎や、塩野七生を読みまくっている歴史好きビジネスマンは無視していいので、「アラサーでこれからの人生に迷っている人」や、「社会人になりたての人」や「大学生」、「予備校生」とターゲットを絞り込んで、書き直したら、ものすごく良い本になると思うのに・・・。

読んでいてそれが歯がゆかった!山川の教科書を目指しているのか?司馬遼太郎や、塩野七生の世界を目指しているのか?はたまた違うのか?そこばかり気になってしまいましたわ。




最強の成功哲学書 世界史

タイトル:最強の成功哲学書 世界史
著者:神野正史
発売元:ダイヤモンド社
おすすめ度:☆(おしい!)

第二次世界大戦外交史 下巻

2016年05月04日

著者:芦田均
発売元:岩波書店

いや~ものすごく良い本ですわ。超大作なんですけれど、一気に読んでしまいました。

本書を読むと、戦争というのは外交交渉の一環であるということがよくわかります。いや、外交交渉じゃないな。交渉だな。国内、国外問わず、戦争というのは交渉の手段。ツールの1つ。決して目的じゃない。

それがよく分かる。

そして、つまるところ「戦争単体で戦争を考えては」ダメだということがよくわかりますわ。ダメ!絶対!で、絶対にやってはダメなんですが、戦争を脳裏の片隅に置きながら交渉事を行わないとダメだな、と。

そこで、はじめてリアリズムが生まれる、と。

まぁ、戦争が目の前、ど真正面にあっても、日本には全くリアリズムがなかった。だから、脳裏の片隅においておいても無理なんじゃね?という自己批判が出てきてしまうのですがね。

そんな本書は上巻の続き。ハル・ノートのやりとりから、太平洋戦争集結までのお話でございます。

そのハル・ノートを日本側は「アメリカの最後通告だ!」と判断して、一気に戦争に舵を切っていったんですけれど、アメリカ側にとっは「最後通告じゃ、ありませんわ」という状態だったことが、よくわかりますわ。

たとえば、29ページ。
アメリカのこの提案に述べられている極東の政治的、社会的秩序は、日本がこれまで夢見てきたものと真っ向から衝突するものであった。アメリカの構想は、相互の独立と安全を尊重し、相互に平等の立場で相接し、通称を行う秩序ある平等の諸国家間の国際的社会であった。ところが日本の構想は、日本が極東の安定的中心力となるのである。

多国間の安全保障でやっていきましょうよ、というのがアメリカのスタンス。いやいや、極東は日本に任せなさいよ、というのが日本のスタンス。

アメリカ許すまじ!って日本がなったらしいのだけれど、アメリカのスタンスは

それに対してアメリカ側のいうことは、日本が武力によって占領している地域を除いては、日本はいかなる地域の資源をも放棄するように要請されていないし、日本の独立はなんら脅かされるわけではない。日本の陸海空軍は依然として在置されるわけであった。日本が諸外国と通商する機会は回復されるはずであった。

で、あったと(31ページ)。まぁ、これだけを読むと「最後通告じゃなかろう」と思ってしまうのだけれど、それは21世紀に生きている人間だからなんでしょうな。当時の首相が「だよね」と思ってアメリカと交渉しても、軍部に殺されていたのでしょうから。そんな内部事情を考慮すると、最後通告になっちゃうのかしら、と。


しっかし、交渉も下手なら、未投資が超甘い中で、戦争をおっぱじめてしまったんだなぁ・・・という記述があっちこっちに出てくるのですよ。

たとえば、70ページ。
終戦後にアメリカの爆撃調査団が、我が国の資料に基づいて調査した書類によれば、日本の戦争計画の基礎判断は大体次のようなものだったといっている。

一、ドイツがソ連に勝てば、北方からに脅威は心配がない
二、イギリスは全く守勢の立場にあって、全戦争能力は英本土の守備にあてざるをえない
三、緒戦におけるアメリカの兵力、ことに空軍は劣勢であるから、日本はビルマ、スマトラ、ジャヴァ、ニューギニア、ビスマーク諸島、ギルバート諸島、マーシャル諸島、ウェーク島、千島を防衛線とする一定地域を占領しうる
四、中国はビルマ公路の遮断によって孤立せしめられ、和平を求めざるをえない
五、アメリカは対英援助の必要と真珠湾の攻撃のため、一年半ないし二ヵ年は攻撃に出られない。その間に日本は前記防衛線を強化しうる
六、この地域の防衛線によって敵の戦意を弱化せしめつつ、その間に各地域の戦略物資の開発により戦力の増強をはかる
七、連合国を失い、日本の頑強な抵抗にあって、アメリカは民主主義政治の弱点から、全力を上げた攻撃作戦はできず、結局当初の占領地域の相当部分を日本が保有することを認めて妥協するに至るであろう


なにこの、盆と正月とクリスマスが一緒にやってきてはじめて「勝てる」という条件はww こんな甘い見通しだったと知ってびっくりデスわ。

更に言うと、日本以外の国と地域、それこそ植民地だったフィリピンも、インドシナも「戦争は外交・内政の手段」という認識があったのに、日本には無かったのがびっくりデスよ。勝って兜の緒を締めよ、どころか、「の条件をみたすと勝利なのかしら?」と思ってしまいますわ。

その記述が152ページ。
しかしながら、この経済面においてもまた日本は大きな誤謬を犯した。すなわち連合軍潜水艦作戦による海上輸送の破壊の結果、物資交流が全く計画の齟齬を来したのもさることながら、経済政策の本質からいって、印刷機によって際限なき発行を許された紙幣が各地を例外なくインフレーションの波に巻き込み、一切の経済秩序と計画とを全く水泡に帰せしめてしまったのである。

占領した後のこと、ナニも考えていないんだもんな。
ナニをもって、終戦なのか?の定義すらしていないで、戦争をおっぱじめてしまったんだなぁと、マジでびっくりデスわな。

そりゃ、ルーズベルトが死んだら、「戦争に勝った!」と思ってしまうわけですよ。戦国大名じゃないのに。

で、そんな本書には、(たぶん)正しい歴史が書かれている(と思われる)のですよ。

たとえば「ルーズベルトは日本が奇襲攻撃をかけるっていうのを知っていた」って都市伝説がありますが、これ、半分正解で、半分間違えということがわかった。

そんな記述は21ページにある。

スティムソンの手記によれば、「大統領は、日本人は元来警告なしに攻撃を始めることで有名であるから、アメリカはおそらく、目の前に迫った、十二月一日の月曜日あたりに攻撃を受ける可能性があると指摘して、いかにこれに対処すべきかを問題にした。当面の問題は、いかにして、アメリカに大きな危険をもたらすことなく、日本から進んで攻撃の最初の火ぶたを切らせるかということであった」(スティムソン日記、一九四一年十一月二十五日の項

もう、「日本=奇襲攻撃」ってイメージがあったのなw でも、残念。日付が違っていた。そして、場所もハワイだと思っていなかった(フィリピンとか、そっちだと予測していたらしい)。これは、「暗号が漏れていた」のじゃなくて、「日本はそういう国だと思われていた」ってことなんだよな。

あと、シベリア抑留の問題とかあるから、「ソ連は勝手に中立条約を破って満州に攻め込んできた」と、ずっと思っていたのですが、そうじゃなかった。

361ページ
一九四五年が明けても日本もドイツも戦況はますます窮迫を告げた。ことに三月以降になると、ソ連の大兵力がシベリア線を経て極東に輸送されれいる状況に容易ならぬ風雲を思わせた。その際、四月五日にソ連は日ソ中立条約の破棄を通告してきたのである。

ちゃんと、事前に「破棄しますよ~」と告知していた。これで「ソ連が悪い!」ってよく言えたもんだな、と思いますわ。

そんな歴史の真実を知るのに最高の本だね。中学生の夏の課題図書に持って来いだと思いますわ。



第二次世界大戦外交史(下) (岩波文庫)


タイトル:第二次世界大戦外交史 下巻
著者:芦田均
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆☆☆(最高!)

第二次世界大戦外交史 上巻

2016年05月01日


著者:芦田均
発売元:岩波書店

元総理であり、元外交官である芦田均が、第二次大戦勃発前からの外交を取りまとめた手記。ものすごくよい。超良い。こうやって包括的に世界情勢を見なきゃダメなんだね、ということを教えてくれる1冊です。

超大作なので、上下巻に分かれております。上巻は1939年のポーランド分割戦争から東條内閣誕生までですな。

もうさ、日本のリベラル畑な方々って、「戦争。ダメ絶対」で思考停止になっちゃっているから、そういう方々に戦前の話や、戦中の話を聞いてもナニも真実を教えてくれないわけですよ。そして、残念なことに日本のリベラルな方々って、教育方面に多数存在しているから、そりゃ、日本の教育はおかしなことになるよなぁ。とくに、文系の教育ってダメなことになるよなぁ。。。。

と、バリバリ文系のぼくは思うわけですよ。バリバリ文系の方々は、こうやって様々な方向から情報を仕入れないとダメだね。間違いなく洗脳されて、ダメ人間になるね。

とくに、この本のような一次情報に近い書籍を読まないとダメだよなぁ。で、「この本の内容がおかしい」と思うようになったら、チャーチルとか、ルーズベルトとか、トルーマンの手記を読むんだよな。

絶対に、アベガ-ジミンガーと騒いているような方々の本ばかりを呼んじゃダメだということがわかる。いや、読むなとは言っていない。こういう本を読んで「ははは・・・」と感じるためには読むべきであるのよね。

で、内容の話。

「アベガ-ジミンガー」と騒いでいる方々にとっては、ヒトラーは好戦的で、戦争大好きな人間だということになっているわけで、そして、そんなヒトラーと同名を結んだ戦前の日本は同じ扱いを受けるわけなんだけれど、そうじゃないということがわかったりするのですわな。


それは、41ページ。
ヒトラーはさらに十月三日にベルリンの国会で演説して平和の提案をくり返し、英仏に対して戦う理由はないが、ヴェルサイユ会議で奪われた旧植民地は返還せられるべきであると述べた。

ヒトラーだって、その国力を考えたら、無尽蔵に戦争を行えるわけがないことを知っていた。だけれど、読みが甘かった。アメリカとか、イギリスに、ヨーロッパ大陸の出来事を仲裁してもらおうなんて思っていたのよね。

アメリカだって、イギリスだって、そんなことはしなかったわけだけれど。

そういう読みの甘さがたくさんあった。

そして、その読みの甘さは日本にもあった。日本は今で言う韓国のようにコウモリ外交を行っていたのですよ。アメリカ・イギリスの連合国側と、ドイツ・イタリアの枢軸国側と。連合国側から有利な条件を引き出そうとして、ドイツを利用するのだけれど、逆にドイツに利用されていくといったということが、この本を読むとよく分かる。

ドイツと同名を結んだって、ヨーロッパの戦争とは距離をおいておきたかったのだけれど、そう行かなくなってしまった。ズルズルと引っ張られてしまった。まぁ、これは読みが甘いというよりも、日本政府と、帝国陸軍との仲の悪さというのもあるんだけれどね。

で、なんでそんなに仲が悪くなってしまったというか、軍部が暴走してしまった(ここに関しては「アベガ-ジミンガー」の方々と意見は一緒ですw)かというと、明治憲法に欠点があったからなわけですよ。憲法の欠点って修正しておかないと大変なことになるというのが、第二次大戦の最大の教訓だと思うんだけれど、そのへんは「アベガ-ジミンガー」の方々とは意見が相容れないんだよなぁ。

憲法至上主義だからなぁ・・・憲法原理主義だからなぁ・・・。


とはいっても、世の中の、主流と全く違うことを言っているかというと、そうでもない。
たとえば、74ページに
ことにヒトラー、ムッソリーニの現状打破論が勢いを得て来たことは日本の国内情勢に大きな波紋を投ずる結果となった。いわゆる「持つもの」と「持たざるもの」との抗争は、必然的に国際連盟機構を爆破するに至るものと見て、それらの思想的潮流が疑いもなく満州事変や太平洋戦争を惹き起こす一つの要因となったのである。
ある、これ。これは「なぜ、第二次世界大戦が起きたのか?」という現在の統一見解に近いものですよ。

あと、第十四章「日独伊三国軍事同盟の締結」の第一項にある「軍閥の走狗となった近衛松岡」とかもね。

しかしね、第十四章「日独伊三国軍事同盟の締結」第四項「帝国議会の翼賛会批判」とあるんだよね。大政翼賛会が近衛とか軍部とかが力づくで導入したように語られているのだけれど、そうじゃないってことが書かれている。無論オムロン、帝国議会が大政翼賛会を批判したということもね。

と、こんな感じに、戦争を起こした日本のどまんなかにいた人間が、「なぜ、日本が戦争を起こしたのか?」を、一般読者にもわかるように、その事実をまとめた1冊です。

歴史的価値のある1冊ですよ。マジで。



第二次世界大戦外交史(上) (岩波文庫)


タイトル:第二次世界大戦外交史 上巻
著者:芦田均
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名著ですわ)

不確かな正義

2016年04月11日


著者:戸谷由麻
発売元:岩波書店

東京裁判のA級戦犯ではなく、BC級戦犯についての裁判記録をまとめた1冊。A級戦犯が戦争犯罪とか、云々かんぬんとか、ある意味偉そうな、抽象的な話だったりするけれど、B級C級はリアルな戦争犯罪というか、普通の犯罪についてさばいたものだったりする。

一般的な刑法犯剤に当てはまりそうな物が多かったりするのがBC級戦犯のお話。大日本帝国マンセー!な方々には受け入れられにくいかもしれないけれど、まぁ、日本軍はあっちこっちで悪さをしていたのは事実なわけで、それを受け入れる、知るということは重要ですよね、ということがわかりますわ。

でもさ、最近騒がれているような犯罪なんて、出てこなかったりするんだよな。なぜだかね。

一方、捕虜に対する虐待なんかは、たくさんたくさん出てくるのよね。

で、こういう話(捕虜に対する虐待や、占領地での強盗行為など)は、今の戦場でもある話だと思うのだよな。そういう、戦場の犯罪を起こさない、抑止するためにもBC級戦犯の記録を学ぶ必要があるんじゃねーの?と思った次第であります。

まぁ、戦争を起こさないのが一番なんだけれどね。



不確かな正義――BC級戦犯裁判の軌跡


タイトル:不確かな正義
著者:戸谷由麻
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆(戦争はないほうが良いね)
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