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ラーメンの語られざる歴史

2016年03月26日

著者:ジョージ・ソルト
発売元:国会刊行会

この本面白い。

日本の国民食といえるラーメン。その歴史と秘密に迫った本。ラーメン二郎とか、あるカテゴリに限ればこの手の本がありましたけれど、包括的に「ラーメン」を扱った本はなかったわけで(何しろ、二郎や、天下一品と、カップヌードルや、ラーメン博物館が同列に扱われている)、更に著者が日本人でもなかったわけで。いや、日本人だってここまで深くラーメンを掘り下げないのに、いわんや海外の方をやですよ。ものすごく複雑なラーメンの歴史と背景を、よくもまぁ、ここまでわかりやすくまとめたものだと思うのです。

この本のコンセプト(というかラーメンに対する仮説というか、まとめですな)は8ページに書かれておりまして

ラーメンは、ひとりの人間にとってもさまざまな意味を持つ。ラーメンは文化的敗北(米に対する小麦)と文化の保護(パンに対する麺)、労働(建設労働者の昼飯)と楽しみ(夜飲んだあとの炭水化物)、速さ(即席麺)と遅さ(職人丹精のスープ)など、さまざまな指標になりうる。

このコンセプトというか、この仮説を証明するかのように、本書は進んでいくのですよ。

クイズのネタとしてよく使われるように、日本で初めてラーメンを食べたと言われるのが水戸黄門のモデルに成った水戸光圀公。そして、誰もが知っているように、ラーメンはそもそも日本の食べ物ではなくて、中国の食べ物であった。

そんなラーメンが一般的になり始めたのがペリー来航以降。なんでかというと、江戸幕府が鎖国政策を取りやめて、各国の方々が日本を訪れるようになった。その中に、中国人がいた。そんな中国人が作っていたのがラーメン(当時は「南京そば」と言われていたんだとな)だったのだと。時期的に文明開化と重なるので、洋食(西洋料理)と同じように中華料理もハイカラなものとして日本中に広まっていったんだと。

で、支那そばはハイカラな洋食と同じく、田舎では食べることが出来ないおしゃれな食べ物だったのだと。

ここで、へぇ~へぇ~となりますわね。

ちなみに、「南京そば」が「支那そば」となったのは1910年なんだと。尾崎貫一が浅草に「来々軒」を開業し、そこで醤油ダレを使った汁そばを「支那そば」と言って売りだしたんだとな。「南京そば」がネギだけ入った簡単な汁麺だった一方、「支那そば」は醤油ダレを使い、具にチャーシュー、なると、茹でたほうれん草、のりが入っていた。もう、今の東京ラーメンと同じ体裁になっていたんだと。

そうやって市民権を得始めたラーメンが、一気に国民食となったキッカケは「敗戦」。食糧不足の日本に輸入されたアメリカ産小麦がラーメン普及の背中を押したのだと。アメリカ産小麦のおかげで日本に広まったのはパン食だけかと思ったんですが、そうじゃなかったんですね。闇市でラーメンすすっているのも、輸入された小麦が闇市に横流しされて、ラーメンになって提供されていたんだと。

そんなトリビアというか、「へ~」がいっぱいつづきながら、現在のラーメンブームにハナシはつながっていくわけです。その歴史の中には日清カップヌードルがあるわけです。カップヌードルの普及に浅間山荘事件が一役買ったということは知っていたのですが、日清よりも先に即席ラーメンを開発していた会社があったなんて、知らなかった。

日清よりも先に即席ラーメンを開発していた会社の名前は松田産業。1955年に「味付中華麺」を販売していたのだそうな。しかし、その「味付中華麺」は特許を取ることが出来ず&販売不振で製造中止に。この会社が「味付中華麺」の特許取得に成功し、販売不振に陥ることがなければ、時代は変わっていたのですよね。きっと。ちなみに松田産業は社名を松田食品と変更し、さらにおやつカンパニーと社名変更をしているのです。1959年に「味付中華麺」の製造過程で発生した歯切れを集めたモノを「ベビースターラーメン」として販売したのだそうな。

この本で一番驚いたのはここですわ。



ラーメンの語られざる歴史


タイトル:ラーメンの語られざる歴史
著者:ジョージ・ソルト
発売元:国会刊行会
おすすめ度:☆☆☆☆(らーめん好きなら読んでおきたい1冊)
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